家相について

建て主と設計者が時間をかけて決めたプランでも〝ある権威をもった人〟が出てきた途端に動線も配置も悪い間取りになることがあります。
それは〝家相〟です。
鬼門や張り・欠けなどを基本その家に住まない人から意見や些細な事を聞いて、調べれば調べるほど知らないほうが良かったと不安になる方が多いようです。
これに関して、宗教的な事もある事から何かとふれない部分であることが多いのですが、こちらページでは、この年齢にもなりましたので、これまでの経験なども踏まえて所感に過ぎませんが書こうと思います。

まず家相というのは、手相と同じく家の相を観ることでありますから、建築計画学に基づいているとも言えるだろうし、おそらくそれが気学も絡んで古来から積み重ねられてきたものであり、それをベースに家を考えることだと言えるのではないでしょうか?

例えば、東南の角についてですが、この位置に玄関を配置すると家族が健康で暮らせる上に出世も可能と言われてますが、常識で考えるとその陽当たりがいい南東角は、一般的に居間を配置して、北側に水廻りを配置してとなりますので、玄関は、道路に面した場所であることを考慮しますと敷地に対して道路がどこに面しているかで、玄関の位置はどこでもあり得るわけですが、その玄関の位置がよく家相で指摘されたりしますので、拘りすぎて収拾がつかなくなることが多いものです。
水まわりのハナシもよく鬼門や裏鬼門で出ますが、トイレは昔のように臭いもする汲み取り式ではなく、脱臭付もあったりする水洗式ですし、貯蔵場所を考慮しなくても今は冷蔵庫のない時代ではないですし、ドラマの北の国からのようにお風呂も薪を割って焚くわけではありませんが、家相の本には場所がダメと書いてありますし…と思い悩んで大切な使い勝手の悪い場所や動線などがおかしな妙な家となる事は、本末転倒であるような気がしております。
おそらく今も昔も変わらないのが、自然と上手に付き合う事が吉相といえ、家相が教える光と風を取り入れて暑さや寒さの対策を考えて、家族全員がHAPPY!になる家を考慮してそうなるように暮らせばよいかと思います。
おそらく鬼門とされる場所にお風呂を設けると服を脱ぐ場所で冷える位置となり、今でいうヒートショックなどの事故が起きやすいし、湿気もたまりやすいので家も傷みやすいという鬼門の場所ですが、これらも今の時代では、浴室暖房乾燥機もありますし換気扇もあります。
裏鬼門の場所にキッチンを置くと西日が当たるために食品が腐りやすいし夏場に暑さがたまり苦痛と感じる場所となるが庇で西日対策を講じればOKとなりますし、今ではLow-Eのガラスで対策ができる時代であり、階段などは、できるだけ転倒しないように自然の光が入るところが理想というだけです。
なのでこれを言ったら元も子もないかもしれないが、家の間取りや配置だけで出世に影響するとは思えないし、そんなことを家の配置に期待するだろうか?
凹凸を張りや欠けというがそれらについてもそう。事業に失敗するとか、出世するとか言われているようですが、昔の家づくりでは張りや欠けをつくると何かと家の費用や修理代が嵩むという意味であろうし、現在の建築技術では何の問題もないと言えますができれば、家は真四角が理想であると言いたいのであろう。
凹部などは死角となれば防犯上よくないし、中庭などはどうしても湿気がたまりがちとなりカビが生えやすいという意味でもあろうし、これらに関しても通風計画などをしっかりと考えればいいのだが、耐力壁の問題もあるだろうから慎重にという意味合いで解釈すればいいのではないだろうか?
それよりも奇を衒う狙いだろうけど、最近よく見かける建築家が提案する斜め壁の方が耐力の理屈からすれば問題だと思う。
コの字型の家も悪いと言われているのは、家の質量の中心を示す「重心」と強さの中心を示す「剛心」これらの二つの点の間の距離が短いほど耐震性が強いと言われていますが コの字やL字などはこの2点が離れるからよくないという意味であろう
ですので、あれダメ!ここが悪い!という減点方式の考えをするのではなく、●●に■■があるからいい家だ!とプラス思考で考えてほしい。 家の中心の求め方などは他の方にお任せするとして、南側に大きな建物が建っている土地が立地条件がいいとは言えませんし、西側隣接地に建物があれば西日の影響も少ないですし それらを含めて間取りは通風や採光を考えた上での全ては理屈ですので 家相そのものは当たっているが、今の時代それほど悲観する事ばかりではないと言いたいのですが、これをご商売されている人がいるからそれほど強く言えないのも事実であります。
