【コラム】そのとりあえず・・・が高額に化けます!?

最近の家づくりでよく感じて口にしている奇妙な見積もり書についてお伝えします。
連日来られたご相談者であるお客さまどちらも、とある工務店のお見積もりを持ってこられ、その内容をチェックしたのでその件を含め、こちらで最近の見積りに関しての感想を包み隠さずにお伝えします。
あるお客さまがお持ちされた工務店の見積書が、私の手元に届くのはこれで4度目。もう一方のお見積もりの会社は知らない会社。もちろんどちらも私と接点がある会社ではない。
その見積内容については、私からすれば、確かに単純化しているが、それが決してわかりやすいとも言えず、正直営業テクニックが満載の見積もりであり、騙すつもりはないのだろうが、煙に巻くというか、誤魔化しているような感じがするのですが、はじめての家づくりをされる方にはその点わかることはない。もちろん提出する工務店は、わかってもらったら困るからわからないようにしている節もある。
その内1社の窓口となっている担当者はお客さまに向かって、商談中に「本社の決済をとったので・・・」って言われたようなのですが、なぜかプランの決済は取らない事が不思議で決めてください!と言われているそのプランが、全く〝できていないプラン〟である感じました。
↑ これ意外に重要 ↑

それなりの大手で名の知れた会社なのに素人とまでは言わないが、決してプロが作ったとは言えないアマチュアまる出しのプランを書かせて、その生活において大切な部分を全くノーチェックで価格だけの決済とはいかがなものだろうか?
さらに内容がとっても大切な見積もり書については、どちらの会社も〝どんぶり勘定〟 であり、依頼する側の立場で考えれば、ほんとこれで納得できると思っているのかな?と最近のこの種の見積りのその数の多さにげんなりしております。
例えば、皆さんにとってわかりやすいのが、コンセントの数がいくつかなのかも見えないですし、その単価も表記されていないので1ついくらすらわからない!って怖くないのでしょうか?今後それを追加工事となった場合、このままでは、1ヶ所1万と言われても、2万と言われても、根拠がないから全て受け入れないといけなくなってしまいます。
またその平面図をみるとバルコニーの面積は全て含め、更に驚くことに玄関前のポーチまで面積に加えて、それらの合計をそのまま施工床面積として計算されているようですが、発注者である相手が素人だから、きっと何も知らないから、経験がないからどうせ突っ込みもしないので…とこのよう面積の数字だけを大きくする事をする会社が最近実に多いです。
これらの意味は、単純に坪単価を安く見せたいがために分母となる施工延床面積を増やし、見積りの坪単価を安く感じさせるためだけなので、みなさんはくれぐれも騙されないでほしい。
通常は、ポーチなどは含まず、一般的にはここで書かれているバルコニーなどは屋根も、窓もないわけですからそのまま坪数に増やすようなことはしませんし、普通は、バルコニー面積の半分だけが対象となり、それを建物本体の面積に加えたものが施工床面積となりますが、これって残念ながらルールがないので〝比較する側〟がしっかりと同じ根拠で計算されるのが理想であります。
そりゃそうです。一方は、バルコニー全ての面積やポーチまで含めて、もう一方の見積りでは半分だったり含んでいなかったりするとしっかり比較しているとは言えないのです。
だからこの住宅業界は、坪単価を少しでも安く見せたいので、標準仕様が安いもので集めた上に面積では、あれも含めこれも含めて、とにかく分母となるその数字を増やす事ばかりに必死で、普通に考えても床と天井のない階段や吹抜け部分も、あたりまえのように入れていることもおかしいと言えばおかしいのです。
ちなみに相談者の図面を見るとここだけで一般的な数値から2坪程膨らませていましたが、これで正当で真面目で施主のための愚直な家づくりであると言えるでしょうか?
また先ほど少しふれましたプランについては、施主が指摘しない限り変更しませんし、希望されない限りチェックをしませんし、どれだけ動線や使い勝手が悪くて風が抜けなくても、これらは、建て主がご了承されているものとなり、チェックしてどうしても気になる点は、承知していると理解したうえで私からも申すこともありますが、施主として承知の上ということならプランはOKとなりますが、率直な感想を言いますとチェックする際に目にするプランは何かとムダな空間が多い図面をよく見かけます。
使いにくい扉、使い勝手の悪いキッチンなどにはレンジや炊飯器、ポットなどの配置計画をしっかりと考慮されているのか?どこに冷蔵庫を置くのだろうか?という図面もあったりします。
特にバルコニーの出が1200となっているのは、通常1階に柱(脚)が必要となるのですが、それの表現は全くされていなかったりすることもありますが、はじめての家づくりでそんなところまで理解するはずもない施主さんの立場で厳しいチェックなんてできないものなのです。

でもこれって、契約したのちに柱がここに必要です!って言ったりでしょうけど、これってなんだかずるい感じがしますが、いや・・・意外に本当にその窓口の担当者がわかっていなかったかも・・・と思う事が多々ありますが、上で申したように上場企業に依頼しても、プランを書いている人が、そもそもプロではなくアマチュアなのですからそうなるのも無理はないかもです。
次に1枚ぽっきりの概算の様な見積書についてですが、先程の面積部分のオハナシで施工床面積を増やすことによって坪単価を安く見せているようですが、それで修正して実際に計算してみると56.26万円⇒59万円となりましたが、これが本来の坪単価となりますが、いかがですか?印象変わりますでしょ。・・・これが数字のマジックで営業テクニックでもあります。
また手元にある同じ会社の2種類の見積り書が比較してみると標準運搬費?というわけのわからない項目があり、ひとつは前回1.5%ほどで今回は2%としていて、さらにそれらとは別に現場諸経費というのは、前回はなくて今回は3%となっていますが、つまりこの会社は、ここの部分で値引きする分を膨らませたり調整しているものと思われ、ここで言われている値引きの価格は、利益率を下げないようにこういう部分で調整しているカラクリのようです。
なお最後に有効期限が書かれていますが、これがこの会社の契約する目標日となっているようで、つまり間違いなく、これを理由に急かされるという事にもなります。つまりこの会社は、今月中にさっさと契約しようとしていますが、こうなれば トークの中で間違いなく来月になったら価格が上がる!とか、この価格は今月だけだから!とか何も知らないあなたを焦らせる事を必ず言うことになるでしょう。それでも今月契約なかったら会社としては、もう追っかける必要なし!という姿勢になります。
でも、営業窓口である担当者が、いい感触と感じた場合は来月中ごろに
あの価格で、まだ何とか上司に交渉しますから・・・
と必ずまた連絡してきますが、沢山追っかけるお客さんがいるならばスパっと切り替えますが、見込み客の少ない営業担当者は、必ずあなたに執着します。

次に仕様に関してですが、標準仕様と言ってる時点で企画住宅であり、どんぶり勘定であるだろうと推測できるのですが、担当者は施主に対して〝中くらいの仕様〟と説明をしたらしいが、内容を見るとそれは一番ランクの低い商品でありましたが、中くらいと説明したらしいので、ならば、あるというのであれば、さらに下の商品を見せてほしいものですが、彼らが提案して説明した〝中くらいの商品〟は一番下のランクの商品でした。
例えば、外壁などは施主さんが希望している仕上げは、塗りだったはずなのに厚さ16ミリのサイディングとなっていて、本当にそれでいいのですか?理解されています?説明されました?という感じであり、仮にこれを採用するとすれば、「これでも全然いい!」という方と「こんなの絶対嫌!」という方がおられますので。できるだけ自分の足でサイディングメーカーなどに実際に見に行かれた方がよいです。
このようなプロの対応で、ストレスが積み重なってこんな家ではなかったはず・・・と感じて後悔されるという方が多いのですが、ここではこの点などは第三者である私からはあまりとやかく言わないで、仕様などに関しては施主さんもしっかりとご理解されているものとして判断するようにしていますが、おそらくこの部分の説明を求めても、きっとそれは契約した後で…という対応をされることでしょう(あとだしジャンケンの法則です)
ですので、このようなプロ都合の家づくりの進め方をされるとサンプルや見本を見て、こんなの嫌だ!となれば、それは既に契約後の事なので、変更や追加などについては、市場価格より高い追加費用が発生することになる事も覚悟されていた方がいいです。
あなたは、サンプルなど見てもわからない!と言われるかもしれませんが、見ないで買うことの方が恐ろしいと認識されるべきです。
あと先ほども言いましたが、コンセントやスイッチ、照明器具などの位置などは本当に満足できる数があるのか?であり、もっと増やして!となれば、それらも増額になるでしょうし、これも同様にその費用が市場価格よりとっても高く出されても、それを全て言われるまま受け入れないといけないので気をつけてくださいませ。
これが、住宅業界で蔓延っているドンブリ勘定の利益が大幅に伸びる部分であります。
これらの他には、地盤改良も地盤によって必要であったり、なかったりしますが、外構工事もそうですが、概算として100万とか200万と書かれていたりしますが、概算とはいえこのようにはっきりとした価格が計上されていたら、おそらく増えることはあっても、先々減る事は絶対にないと言えますので要注意が必要です。
どのような内容でどのような根拠からきている100万とか200万なのか?が重要であり、それが曖昧であれば、自分で想定していればよく、その見積り明細に加味させない事であります。
でもおそらく、とりあえず…というであり、たいした根拠なし!という事ですので、高くなれば請求できるが、安くなればその額面を想定した価格に近い額を請求できることになり、これらは意外と盲点となりますので要注意が必要です。
家の計画も決まっていないのに、外構などは車の屋根や門、アプローチの仕上げや境界の塀などなどおそらく未確定が多いかと思いますし、保証費用などは、必要なものでこれをサービスと言っている時点で全てにおいて疑わしくなってしまいます。サービスという事は、少し高く経費率を設定していてそこに含まれているだけであります。
1社の解体費用については、キャンペーン価格という割に普通の価格?いや高いぐらいですし、影響のないはずの物入れの棚などは1回目でなかった明細が2回目の明細では増えていたりとよくわからない箇所も多いのですが、外壁の光セラキャンペーン適用?ってキャンペーンでも何でもなく価格もどちらかと言えば、原価からチェックすれば高いほうであり、ホームページを見ればわかりますが、標準品で設定されているものが多くあります
▼メーカーのホームページなどをご覧ください
https://www.kmew.co.jp/
照明の位置とある程度の想定されているメーカーと定価は、契約前に聞いておいた方がいいですし、想定した位置とスイッチなども必ずご確認してください。
特に企画住宅を売るハウスメーカーの営業担当者などは、利益率に対して報酬を得るようになっていますので、安易に利益率を下げるようなことはされません。先にもお伝えしましたが、値引きしているのは、膨らませて値引きするというものだけです。
参考見積書式 仮設工事だけでこんな明細

あと、このそれぞれのお客さまに対してハウスネットができることは、今商談中の会社と進めたいならその後のフォローやアドバイスなどをしますし、これらの問題や課題をすべてクリアできる会社をピックアップして、施主さんが好まれている家づくりができる会社に見積もりを依頼して見ることとしますが、くれぐれもずっと住む家であろうかと思いますので皆さんもヤスモノ買いの・・・にならないようにしてほしいものです。
結論は、企画住宅と完全注文住宅の見積もりは、似て非なるもので全く異質なものであります。
