【コラム】大切な友人にならどうしてあげるだろうか?

あらためて家づくりというのは、楽しいけどむずかしいと痛感しております。特に注文住宅の場合は、何棟建てることに携わっていてもむずかしい。建て主側の立場で何棟も建てている私がいうから間違いないです。
はじめて家づくりをされる建て主さんの頭の中のイメージを絵に書いて具現化して、それを予算の中でカタチにしていかなければなりません。同時に時期は急がれる方が多く、ゆっくりと打合せを重ねて図面に書いて、見積を出して、確認して修正して色見本を見てもらって…という呑気な商談ができるならいくらでも可能なのですが、ほとんどの方は、できるだけ急いで欲しい!時間がない!というケースが多いものです。
一般的には計画に1年は必要もないのですが、イメージとして1年ぐらいかけて内容を詰めようとしても、3次元となれば、図面だけでは空間の想像ができないという事に辿り着くので、結局は、現場で細かい点などは打合せをするという事もしばしば。どれだけ着工前に内容を決めていても、現場を見て変更になる事も多いものですが、でも工期も絡んだり、納期も絡んだり・・・。
供給する建築業界側の事情は、それなりに色々とありますが(たとえば資材メーカーの納期が追いつかないなど)建て主側にすれば、諸事情はともかく、それらがストレスになったりする事もあり、どちらも前向きで一生懸命であってもこういうケースになる事もあるから〝完全注文住宅〟は、むずかしいものといえるのです。
かといって、一方的に企画化してそれ以外は対応しない、できない。仮にできても市場よりもあきらかに高くなるドンブリ勘定の規格住宅が正解とは言いたくないから、何棟も何年も家づくりを携わっていてもまだまだ課題は多しです。
先週メールでご相談があったお客さまの状況もとてもよろしくない状況でした。その内容は10年も空いている中古住宅を購入され更地にして売って欲しいと希望したら、「更地にしたら住宅ローンが組めないのでこのままで買って住宅ローンを申し込んでください」と?意味の分からないことを言われた様子ですが、これって無知か嘘であり、逆ですので皆さんもお気を付けください。
このお客さまは、「私達が勉強不足だった…」と大変後悔されていましたが、なぜこのようないい加減な事を伝えて不動産を売りつけるのでしょうか?これでは終わらずに購入した後にその担当者にローンが組めない!と言えば「2-3年住んでから…と言ったはずです!」という始末のようで、こんな事をしてまで彼らは手数料を稼ぎたいのでしょうか?
いい加減な事を伝えて不動産を売って、仲介手数料を満額でとって、なにか後ろめたい気持ちでこのようなお仕事して楽しいのでしょうか?

不動産会社は、私のような立場に対しては、いつも最後には「私たちは建築の事はプロとは言えない」と言って逃げる方が多いのですが、ならば家づくりに関わらないか、関わるなら家づくりとの絡みや住まいづくりなどをもっと勉強してほしいと感じる事がよくあります。
もちろん、きっと探せばいい方もおられますが、目立つ会社ほど危険な売り方をしているようで今回のは、これまでもその対応の悪さで過去に数回のご相談のあった不動産会社で時折、新聞沙汰にもなっています。
家づくりに関しても、不動産購入に関しても大切な友人に相談されれば、きっと嘘も言わないだろうし、本音で伝えるだろうし、できるだけ無駄をなくし、適正な相手を探すだろうし、ベストな方法を一緒に真面目に考えるだろう。・・・で、できるだけ楽しく
おそらく何のお仕事をしていても、これって共通することだと思います。
では、なぜ現在の家づくりでは、消費者であるお客さんが購入する際や家づくりでそれができないのだろうか?とこのような事ばかり毎日考えながら相談者の方の話を聞きながらいつも接しています。
ホームページや雑誌の質問コーナーのように経験論であればいくらでも言えますが、自分の考えや価値観をできるだけ押し付けないで、相手の考えをスムーズに通せるようにベストを尽くしてあげる。もちろんやめた方がいい事は、しっかりわかりやすく納得できるように伝える。
大切な知人や友人になら、どうしてあげるか・・・これが仕事の基本かと思います。
もちろん、こちらがいくらそのような気持ちで接していても、大きなお世話とか迷惑や好意を勝手にした事などと判断されれば、それ以降も親しい友人になんてなれるはずないですが、これって仕事も同じです。
これをよく〝信頼〟という言葉で表現されますが、私は少し違う気がしていて、知り合いと友人ぐらいの差があるように思います。
親しい友人から過剰で必要以上の利益をとれますか?普通とらないですよね。もちろんお仕事なので損もできません。しかしながら仮に過剰に取った際には、どこか後ろめたさや心から罪に感じることになりますが、その後その親しい友人のご家族に笑顔で会えますか?知人友人には、したくない事、自分がされて嫌に感じる事を何も知らない素人のお客さまを捕まえてしてほしくない!
そんなことを思いながら日々サポートをしております。
