住宅営業も大変なお仕事なのですが・・・
消費者とすれば、家づくりでも、高性能高仕様でありながらも、できるだけ無駄をなくし、その価格の割に性能も設備もよくて、経済的な家づくりを考えるのがあたりまえです。
一方、ハウスメーカーや住宅会社の営業マンという立場は、消費者の思いとは真反対で、できるだけ高額な価格で契約して(売上)で1円でも多くの利益額を残すことが会社からの宿命で、それはそれで大変なものなので、その営業担当者(〝契約〟を目的とする工務店や建築家も基本的に同じ)についての立場をしっかりと書かれたものがないので、こちらのページでは、ひとつひとつその立場をみていく事にしましょう。
◆まず集客と追客
会社は、ネットはもちろん雑誌、大手などは、チラシや新聞広告にテレビコマーシャルなどのマスメディアも利用して、従来からのブランド構築のための告知やモデルハウスなどまで用意してくれて莫大な広告宣伝費を費やして集客してくれます。
なので営業マンは、宣伝をしてくれないなんていい訳はできません。唯一いい訳できるとすれば、客質が悪いという程度が精いっぱいで、こんな時、上司や会社は『ここまでしても集客できないなら自分でお客さんを探してこい!』ということで最近とても多いのは、不動産会社をはじめとする法人廻りをしています。
もちろん先方は個人であれ法人であれ、できるだけ多くの紹介料を求めます。それが会社の規定外であった時は、なかなか辛いものでありますが、ここで毎月好成績をおさめている営業マンなどは多少の規定外でも契約をするのであれば…と許されたりするのですが、これが他の営業マンからすれば理不尽を感じることであったりもするものですが、でも会社が土地を買って条件付きや分譲をやってくれるのであれば営業としては楽(ラク)なものです。
理由はその土地に興味があるし、提案する競合先もいないからで無理なら買わなくてもいいという有利な立場で商談ができるからで、チラシや雑誌などから資料請求があったお客さまに個別に連絡してまずはお会いできるように、商談できるようにする努力を考えると不動産会社から紹介されたり、会社の分譲を売っている方が楽(ラク)なので、会社の評価がどちらも同じ1棟ということで一緒であれば営業マンは自然とこの楽な方に傾くものでありますので不動産や分譲担当をする事になります。
しかも分譲地などでは、その土地のためのチラシを作成してくれて配布までしてくれるので、営業担当としてお客さまが来る来ないにもかかわらず、朝から夜まで張り付いておる事が出来るのです。時折車などで待機している営業マンを見かけるかと思います。
お客さまのデーターとしては、まず職業をチェックし、会社経営や公務員なら優良客で、自営業の方を嫌がります。また同時に年収なども書きこませて必ずチェックしますが、初対面でいきなり失礼な質問だと感じるかと思いますが、これは深追いしていいお客さまかどうかの判断をおこなっています。プランをして見積もりまでして、融資がOKにならないのでは時間の無駄と考えるからであり、同時に融資額がいくらまで借りれるのかもできるだけ営業マンが知るようにします。
これは、他ページでも書いているように融資額いっぱいの家づくりをするためであり、商談もやりやすく数字も見えるからでありますので、お客さまがご自身で銀行に行かれたり、ある程度の余裕を持って予算を言われるのが一番やりにくいと感じています。
◆商談から契約まで
上に書いたようにあらゆる手段を使って集客して、検討している購入予定者となんとかお会いできて、商談となり提案できるようになったら、次は契約にならなければ意味がありません。しかも色々な会社とあの手この手の競合があったりします。
一度商談となって会社に報告してしまえば、管理職である上司から毎回の会議で進捗報告をさせられます。
どんな提案をしたのか?という事などは一切話題にしないで「今どこまで進んでいるのか?」「いつ契約予定なのか?」「その契約予定金額は?」という点のみです。
このあたりは要領のいいだけの営業マンなどはそれが嫌だから、商談をしている事などは報告しなくて、契約の見込みが確実になった時点で急に報告をしたりしますがこのあたりは、会社の資料請求者の管理体制がしっかりできていないでただ杜撰だからこうなるのです。
例を言いますと先ほどの不動産屋などの法人まわりをした際に仮にお客さまを紹介されても会社に報告さえしなければ、没になろうが商談になろうがわからないのです。
ところが業績がなかなか厳しい状況の中、聞いたこともないお客さんの名前をいきなり出して「来月契約予定です!」などといわれたら、なぜそもそも隠していたのか?という問題には一切触れないで、さも〝凄い優秀な営業マン〟扱いとなりがちですが、真面目な営業マンほどこのあたりは、ちゃんと登録して会社に報告をするので事細かくチェックされたりするものですが、契約さえできれば何でもいいというところもあり、きっちりとした仕組みができているようできていないよくありがちなカタチと言えます。
管理職が司会進行をする会議では、家づくりの提案内容より売上や粗利額の数字のみで、これは、工事が始まっても利益額のハナシをするのは同じです。上司や会社はひたすら毎月毎日数字を追っかけるのみで、契約予定日が伸びたら「そもそも商談の進め方が悪いのでは?」と言うし、契約できなければ、全員の前でその理由を述べさせ吊るしあげ。
一方責められる営業マンといえば、みんなの前で恥をかくのが嫌なので、わかりやすい理由としてよく口にする〝価格で負けた〟とかなど本当の理由は誰にもわからないので、とかく契約できなかったのは、お客さんが悪い!という報告をしてその場を脱しようとします。
営業会議では、毎回こんなことを繰り返されるので、会社の本当に知りたい問題点というのはわからないまま、一切改善されないまま続けられていますが、住宅営業マンにすれば、そんな事よりも、とにかく1棟契約しないといつ〝解雇〟されるかわからないという立場なので会社の仕組みやシステムにかまってられない方が多いですし、井の中の蛙になりがちで、新卒からそのお仕事をしている方が多いので、こういう世界があたりまえであり、おかしな家づくりとは考えないようでその会社が上場していたらなおさらのようです。
とりあえず何の理由やどんな手段を使ってでも、色々な競合を排除してそれらの競合に勝って契約する。これが営業の立場の目的であり、会社や上司はそれだけを期待しています。
だからハウスメーカーをはじめとする家づくり会社は、個人商店の集まりと言われる所以であり、どうする事も出来ずに精神疾患病になったり自ら命を絶つ方も多いようですが、仕組みなどを疑問に考えないで〝本人の弱さ〟と捉える会社や管理職も多いもので、競合排除するためには、会社や上司からは、不確定段階であっても、まず仮契約をするように求めたり、額が小さい取引をさせようとします。
そうすることにより何らかの意思表示となったり、心理的に自社を優先にした商談を運ぶことができると踏んでいますが、長い商談のあとに断られる事が一番の経費の無駄と考えているのはわかりますが、そうならないように上司にサポートしてくれる方がいいと思う営業マンも多いのですが、上司や管理職は自分たちもそうしてきたから…といってサポートはしてくれないようですので、仮でもなんでも契約後は、契約書に明記してできるだけ早く得た手付金などを返さなくてすむように条項に書かれていたりします。
◆さて 契約後は・・・
しかし営業マンの立場としては〝契約〟として評価されれば、これ以上このお客さまの面倒をみても会社は一切評価をしません。それどころか「次の契約物件はいつ?」そんな感じです。
これを真面目な営業マンが無視をしてフォローをしていれば、会議で立場は悪くなるばかりですが、逆に仮でもなんでも契約後にさっさと引き継げる人は、契約後の途端に姿を消し、お客さまの満足度は下がるばかりであるので、もちろんリピートや紹介などがもらえるはずはないものなのですが、このあたりを会社や営業の管理職は、そんな感情論よりも数字が先と考えているのが多いものなのです。
家づくり会社によっては、契約後はお客さまと接しないようにと指示しているハウスメーカーもあるようで、それでいてリピートや紹介を増やせ!というのでその理不尽な方針に真面目な営業マンほど悩む人が多いので、この業界をやめる人も多くなるのであります。
いかがでしょうか?自分なりに営業マンの状況がよくわかるようにまとまっていると思いますが、住宅営業マンもこれからますます大変な時代に入りますが、こうしてみると他の業界の営業マンと比べてもかなり特殊だと思います。
でもですね・・・このようになかなか辛い立場の仕事とはわかっていますが、だからと言って、素人であるお客さま(建て主)に対して失礼な事をするものではないと個人的には強く思いますが、皆さんは企業、特に上場しているので仕方がないと捉えるのか、上場会社だからこそ、もうちょっとしっかりとサービス内容を充実させてほしいと考えるのか、上場会社でなくてもこの体質は基本同じで、そもそもこの仕組みが成り立たない世の中になってきていると思うのかはご自由です。
消費者とすれば、本当にこの家づくりが、自分の家づくりとして理想で正解なのかをしっかりと見極められた方がよろしいです。