家づくりの準備と心構えと上手な依頼方法
このページでは、売る側である家づくりをする業者が絶対に口が裂けても言わない実態を包み隠さずオハナシをします・・・と言っても決して暴露話ではありません。
要は、これまで何度も新築したり、住宅を建て替えたり、リフォームすることに携わってきた私が自ら家づくりをする場合には、どのように考え、どう動くのかを皆さんに伝えればわかりやすいかと思いますので一度読んでいただければ、住宅業界側の思惑や事情も理解できてそれらに対しての対策も講じれると思います。
◆依頼者側と業者側の利益が相反する
その収益と支払額の差額が、プラスであれば儲かる大家として事業として成功であることになりますが、ある程度の管理費や税金などは予算組の想定ができますが、実は工事費やメンテナンスの予算組をどうされるのか?であります。しかもその予算組は、どのような何の根拠をもってその費用としているのかであり、これらの費用をできるだけおさえなければ大家としてのアパート事業としては赤字になるのです。 この工事費やメンテナンスやリフォームのヨミが甘いからこれらの事業は赤字経営となり、素人によるアパート経営の失敗につながることになると思われますが、このページでは、このアパート経営の事をオハナシするのではなく、この際の工事費やメンテナンスと一緒でそのリフォームや改装、新築や建て替えを依頼する会社は、それらを〝業〟としているという事であり、一方でアパート経営する大家であるあなたは〝できるだけ良いものを安く〟作る事を望まれますので、これは依頼者側と業者側の利益が相反することになり、同時に依頼する側が素人であり何もわからないからそのコストを自らコントロールできないことが要因にもあります。
現在の家づくりは、この大家の立場と同じようにほとんどの発注者がリフォームや建築の知識がなく、また正しく比較する方法を知らないまま依頼先を選ぶことになります。そのためには、できる限り売り手側である業者側の心理と思考を逆手にとって、コスト削減にお互いが合意できる構造を持ちつつ、その中で良心的な家づくりをしてくれる会社を効率的に選定する方法が大切であります。
相手はプロ。素人に対して1円でも工事金額が上がるようにハナシをされ、何も対策を講じなければ、誰かが得をして誰かが損をするものでありますので、現在の家づくりは、損をするのは何も知らない素人であることが多いのです。
またこの住宅&不動産業界には、知れば知るほど依頼者の利益や満足よりも自分だけの欲や利益しか考えない自称プロの方が多く存在していますので、相手が素人であるという事がわかれば、見積金額や内容に関してある程度吹っ掛けることができますが、逆に言えば、経験者であることや少しは詳しい事がわかればそれができなくなります。
しかしながらこれらが過剰要求となれば、彼らはクレームを含め手間がかかるばかりで儲からない仕事であると判断されると途端に何も対応してもらえなくなるのでそんなに安易で簡単ではありません。
先のアパートを建てる事に関してでいえば、冷静に判断しなければならないのが、その相手の会社は大家となるあなたに対して誠意あるコンサル的なアドバイスをしているのではなく、純粋な建築会社であり、つまり可能な限り、彼らが建てたい構造・建てたい工法・建てたい間取り、使いたい仕様で建てることとその管理をすることで最も利益が発生するビジネスモデルであり、それを建て主に提案することが一番であるといった都合のいい論理展開で提案されてくることを忘れてはならないのです。
◆準備で8割終わる(段取り8分)
どんな家づくりであっても①依頼先の検索と選択 ②面談 ③交渉 ④工事依頼という流れになりますが、これらの前に実は最も大切なことが見積もりを取る前の丹念な準備であります。
根拠なく価格交渉をしても、それが決して適正な方法とは言えないもので、1円でも多くの利益を確保したい業者は、ある程度価格を下げることを想定した価格であったにすぎないケースがほとんどですから、この準備段階で綿密なコスト削減戦略を考慮したうえでの準備が必要であり、彼らがそれでも工事をしたい思わせる状況を把握しながら進めることが必要であります。
そのために希望する性能・工法・仕様・設備・デザイン・テイストなどを落としこみながらも、依頼者側もしっかりしたコスト意識をもって、データーなども活用して根拠ある理由での提案とその精度が全てであります。
これらの準備がしっかりされていると面談を繰り返すために適正な指示をするので、よからぬ相手の提案に迷ったり、横道にそれることなく面談技術が向上するので、その面談時間も短い時間で聞きたい内容が聞き出せたり、より多くの情報を得ることができるようになります。
もちろん相場観は大切であり、資材の価格や工事手間などの相場観を知って理解もしているどうかでプロは、よく勉強しているけど結局は素人であるかどうかの判断もして、本当に適正な価格でできるのかが決まります。
例えば、相場観として大量発注しているから安いと言われてますが、それができない皆さんは、小ロットでも買えるホームセンターなどでその価格について調べてみたらいいのです。ネットでは在庫品や不良品なども含まれますが、ホームセンターではそれはありませんし、もちろん間違ってはいけないのが、例えば断熱材であれば想定している同じ性能の商品かどうかなどであります。
またリフォームやメンテナンス工事であれば、それらの工事をする方法として、施工手順やどれぐらいの手間がかかるのかを把握するためにDIYなどにあるメンテナンスガイドや施工手順解説リーフレットなどを見て、少しは理解されてから見積を見ればその理解度は全く違ってきます。
特に賃貸など経営している大家という立場で考えれば理解できるかと思いますが、入居者が変わるたびに都度改装やリフォームをしなければならないので、できるだけそのコストを抑えなければいけません。
それと同じように発注者が高いコスト意識を持って依頼しない限り、リフォーム、新築建て替えのコストは安くならないと言えます。
また今の家づくりの中には、CM方式としてそれぞれの業種で比較して一番安いところに依頼する完全に分離発注する方法もありますが、対応する会社によって孫請けに投げたりして対応されると職人としての技術や人格を含め現場対応が優れている人が来るとも言えず、価格だけの比較だけで腕や技術が同じとは言えないし、これはこれで全ての職種の方の長所・短所を理解したうえで比較をしているのであれば、適正な方法とも考えることもできるのですが、価格だけの比較が最優先とされているので、だから現場でのトラブルが絶えないのでしょう。
◆お互いありがとうで始まりありがとうで終わる関係づくりを。
いい会社ほど景気に関係なく多忙でありますので、依頼する際には、時間を取って現地調査に来られたり、商談対応をされるのでくれぐれも決して冷やかしではない、本当に工事をするつもりであるという姿勢を見せ、依頼者であるあなたが過去に経験があるのかとか、どれだけ詳しいのかと利益が発生するのかを含めて、実際に高い確率で工事が依頼されるのかなどを判断されますので、相場を度外視した指値なんかをするとやっぱり所詮何もわかっていない素人だと露呈して、あまりにも厳しい条件を出すと業者側から辞退されることもありますので加減である適性を出すためにしっかりと調べる事が必要なのです。
そのための準備として、工事案件の規模や内容がより明確に判別できるような概略の工事内容とその図面を用意する事が大切。
その依頼する会社として、基本高額な費用を出して住宅雑誌などで掲載している会社や集客にインターネットを駆使している業者などは、厳しい利益の仕事をするよりも高利益がとれるお客さまが集まるので、そこまでの利益がとれない仕事に特に困っていないために提示してくる見積金額も必然的に割高となる傾向がありますので、皆さんが目立つ広告を出している家づくり会社は、低コストな新築や建て替え、リフォーム工事が実現する可能性が低くなる>という理屈になります。
このような会社の傾向は、営業対応からプラン提示から見積表記、その部材仕様の説明から全てが手厚い対応をされますので派手な中小やフランチャイズ加盟店や大手の看板の背景にある安心には、すべてのコストがかかっていますから高額になってしまいます。
これについては、しっかりと同条件で比較してみればその真実はすぐにわかりますが、きっかけが雑誌であって提示価格が予定よりも高くても、彼らなりの色々な論理展開で営業トークが繰り返され、準備もできていない、何もわからない建て主がその気になって依頼されるのも事実であります。
この家づくりのコストを意識されるなら、さほど派手な目立つ広告などの宣伝していない中小であり、ぶれない安定した職人を確保されている会社に依頼されることが望ましい。
その理由は、モデルハウスを持たないし、宣伝や広告をしない会社で事業が継続されているのは、これまでのお客さまの満足度が高いので、紹介やリピートの対応に追われているだろうし、中小であればその人件費や販売管理費、間接経費といった余分なコストがかからない会社である可能性が非常に高いからであり、内部留保が少なくすむので経営の構造上安くできる会社と判断できます。
そんな会社だからこそ工事を依頼するときには、本当に工事案件があり、家づくりの工事が確実に発生することを会社に理解してもらうためにより具体的な部材の規格や仕様を交えながら伝える事が理想であり、それがプロからなめられる可能性がぐっと低くなり成功に近付く方法であると言えます。
特に新築と違ってリフォームの全面改装の場合では、解体工事後有効寸法や下地状況を確認したうえでないと正確なことが言えないと言われることもあろうかと思いますが、そのまま曖昧なままにすれば、業者によって想定する商品が変わったり、工事内容も変わったりするので、見積段階ではひとまずこれでしてほしい!とこちらから部材や規格サイズを工事内容や品番を指定すればいいのです。
その現場調査に来ていただく前のチェック方法として、メールや電話を通じてその会社の姿勢を判断する事もできます。その段階で親身な対応に欠ける会社は、依頼先としてこの先のお付き合いする相手として見込みが薄いという判断もできます。
何度も言いますように結果的に業者側から対応無理!と断られることもあるので、依頼するあなたの立場では、基本は最終選考まで残すべき業者の数は最低2社必要であります。
相手は〝業〟として対応されていますので、他にもっと利益が出る効率のいい物件があれば、そちらを優先されるでしょうし、利益が低い上に細かいことまでうるさ過ぎる案件はお断りされます。
建て主にすれば理不尽に感じるかもですが、限られた時間を考えればこれは経営者としての判断はあたりまえで、気を付けなければならないことは、工事業者からやらないと言われたその時点で終了となりますので、最終2社まで残しておいて1社とは正式に契約をしてから断るようにしましょう。
しかしその断る理由は、もう会うことがないとしても、あなたの家づくりのためにしっかりとご対応をしていただいたことですし、最後まで候補として残ったのであれば、相手の気持ちを考えて誠意をもって感謝をお伝えすべきで、他社のほうが価格が安かったという発言はもってのほかで厳禁で、その価格や内容は同じだったとお伝えして、どうしても…とお願いされたのでなどと相手の手間や気持ちなどを考慮して柔らかくお伝えしましょう。
依頼する会社に対しては、契約前に考えられる追加請求の有無の確認と契約書の諸条件、特に新築・建て替えの場合などどは支払い条件などを確認して支払いすぎないように理解したうえで、リスクのない出来高払いになるような支払い計画を了承してもらうようにして、見積内容にその他の工事箇所の漏れがないか確認して、工程などもしっかりご確認したうえで提出してもらい、今慌ててしなくていい事や自分でできることなどを省いてご契約するようにしてください。